『維新の嵐』における後継要人命名システム

■ 序

『維新の嵐』は、同名のシリーズ第1作で、幕末の人物の一人となって日本全国の思想的統一を果たすことを目指すゲームだ。このゲームは坂本龍馬や徳川慶喜といった実在した人物が登場し(以後ゲーム上にキャラクターとして登場する人物を要人と呼ぶ)、プレイヤーはシナリオごとにいくつか選択可能な人物の中からゲームを開始することになる。

このゲームは、コーエー(現:コーエーテクモ)のリコエイションゲームの例に漏れず自由度は高い。可能な行動の中でも最たるものが、他の要人を攻撃することだろう。勿論、敗北した要人は場合によっては死亡する。こうした行動はCOM操作のキャラクター同士でも発生するので、プレイヤーが手を下さずとも目にすることはあるだろう。ならば藩主など重要な人物を斬ってしまうとどうなるかというと、次のターンには一字違いの人物がどこからともなく現れて、オリジナルと同じ役割を何食わぬ顔で果たしている。 要するに、こうした行動で歴史が変わることは無いのだが、こうした人物(以後、後継要人と呼ぶ)の名前について過去に行った調査を埋もれさせるのは惜しいので、このたびレポートにしたい。

■ 検証結果

(PC版)

PC版では、主に長州藩士世良某氏、その他京都在住の皆さんを相手に検証を行った。世良氏をチョイスしたのに他意はなく、彼が後述する「後継要人が登場する」タイプの要人だからだ。来る日も来る日も京の街で辻斬り検証に明け暮れた結果、後継要人の名前は下記のようになった。

(元となった要人の名字)

(元となった要人の個人名1文字目)

英 介 学 基 義 吉 兼 孝 宗 秀 秋 重 春 将 成 正 
盛 聖 則 忠 直 貞 惇 之 能 範 平 輔 豊 明 頼 礼 

こうして見ると、要人の職業による違いは特にないようだ。また、個人名が2〜4文字の場合は最初の1文字目だけを使用し、個人名が1文字だけの場合は元の名前に2文字目が加わった。確かに、「直弼」といった実名では違和感は少ないが、「修理」「主膳」といった官職名由来の名前や「修蔵」「象二郎」といった通称ではどうしても違和感を感じる。また、個人名の二文字目が選ばれる際に一文字目との組み合わせは考慮されないのか「直直」「忠忠」といった名前も出現することがあった。

また、このサイトの趣旨からは少し外れるが、来る日も来る日も要人相手に次々と辻斬り検証しているうちに後継要人が登場するタイプの要人とそうでない要人の存在に気が付いた。検証した範囲内では、おおむね下記のとおりと考えられた。

○必ず後継要人が出現する
・各藩の藩主(システム上、藩主が存在しないと困るためか)
○一部後継要人が出現する
・各藩の家老・重臣
・各藩の藩士(家老・重臣よりも割合は少ない)
○後継は登場しない?(未確定
・僧侶
・外国人
・その他在野の志士

外国人も後継要人は登場しないようで、「グラバー」や「スネル」の名前を継いだモブ顔の後継要人が街を闊歩するカオスな光景は残念ながら見られなかった。

(PS版)

せっかくなので、PS版でも検証を行った。『維新の嵐』は、家庭用ゲーム機向けにはファミコンやPSで発売されたが、当時のハードの限界からかマップも要人数もPC版に比べると少なくなっている。そのためか、要人の死亡頻度は少なくなっており、またPC版では死亡しても後継が出現したがPS版では後継が出現しない要人も散見された。そのためか、困ったことにPC版とは同じ条件では検証が難しくなってしまった。

そこで、筆者は江戸城近くの地点に固定で在住する、彦根藩よりお越しの井伊某氏を相手に検証することにした。この井伊氏、一度攻撃しても逃げ回るでもなく助けを呼ぶでもなく同じ地点を動くことは無いので、一回目の攻撃であと1回で倒せる程度まで体力を削ってからセーブして、そこから再度攻撃して後継要人の名前を確認する、という手順を何度も繰り返した。こうして大老を襲撃すること百数十回、後継要人の名前は下記のようになった。

(元となった要人の名字)

家盛 義光 義直 吉光 吉春 久長 慶勝 光吉 秀光 秀順 
重光 重信 春永 春三 勝正 勝茂 勝利 尚直 信治 信正 
新介 正次 忠順 忠直 長治 直正 鉄郎 彦雄 利正 利盛 

念のため、他の要人も何回か斬ってみたが、やはり傾向は同じだった。これらの候補は、PC版とは異なるが、どうやらゲーム中で使用されている漢字を使い回して作られたようだ。この辺りの事情は、おそらくはハードの制約のために漢字を好き勝手に使う事の出来なかった家庭用ゲーム機向け移植の産物だと思われる。
どうでもいいが、江戸城の真ん前で大老が斬られてるのに誰も何のリアクションを示さないのが昔の光栄のゲームらしいというか何というか。


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